前回、3つの技術革新(AI、ノーコードツール、クラウドサービス)により、現場の人間が自らITを使いこなせる時代が到来したことをお話ししました。
今回は、IT OptimizerとIT Engineerの違いについて、歴史的な視点も交えながら詳しく見ていきます。
🤔「IT Optimizerって、IT Engineerと何が違うの?」
この質問をよくいただきます。確かに、どちらも「ITを使って問題を解決する」という点では共通しています。
しかし、その「価値の生み出し方」が根本的に異なるのです。
この違いを理解するために、まずITの歴史を振り返ってみましょう。
ITの歴史的変遷:専門家独占から民主化へ
第1世代(1950-1970年代):大型コンピュータ時代
特徴
- • 数億円する巨大なコンピュータ(メインフレーム)
- • 専用の部屋が必要、専門の技術者が24時間管理
- • 一般の人は触れることすらできない
誰が使う?
ごく限られた専門家のみ(大学や研究機関、大企業のコンピュータ部門)
第2世代(1980-1990年代):パソコン普及時代
特徴
- • パソコンの登場で価格が数十万円に
- • 個人の机に置けるサイズ
- • ワープロ、表計算などのソフトウェア登場
誰が使う?
ビジネスパーソン全般に拡大
ただし、プログラミングやシステム構築は依然として専門家の領域
第3世代(2000-2010年代):クラウド・SaaS時代
特徴
- • インターネット経由でソフトウェアを利用
- • 月額課金で必要な機能だけ使える
- • インストール不要、すぐに使い始められる
誰が使う?
あらゆる規模の企業・個人
ツールの「利用」は簡単になったが、複数ツールの「組み合わせ」「自動化」は依然として専門家の領域
第4世代(2020年代〜):AI・ノーコード時代
特徴
- • AI技術の爆発的進化(ChatGPTなど)
- • ノーコード・ローコードツールの成熟
- • システム構築のハードルが劇的に低下
誰が使う?
現場の非エンジニアでも、システム構築・自動化が可能に!
これが「IT Optimizer時代の到来」です
つまり、ITの歴史は
「専門家の独占」から「民主化」への歴史
IT Engineerの「負のループ」 vs IT Optimizerの「知のループ」
歴史的に見ると、IT Engineerの価値創出には構造的な問題がありました。
😰IT Engineerの「負のループ」
1. 専門知識が必要
現場の人は使えない → IT部門や外部に依頼
2. コミュニケーションコスト
要件定義、仕様書作成、何度も確認...
3. 時間とコストがかかる
数ヶ月〜数年、数百万円〜数千万円
4. 完成したら...
すでに業務が変わっている、使いにくい
使われないシステムが完成
(または修正の無限ループ)
✨IT Optimizerの「知のループ」
1. 現場の人が自分で作る
業務を一番よく知っている人が構築
2. 即座に試せる
数時間〜数日で動くものができる
3. すぐに改善できる
使ってみて、その場で修正・改良
4. 知見が蓄積される
作る過程で業務理解が深まる
次の最適化に活かせる
(継続的な改善サイクル)
重要なポイント
IT Engineerが悪いわけではありません。しかし、「現場から離れた専門家に依頼する」という構造が、どうしても「負のループ」を生みやすいのです。IT Optimizerは、現場の人が自ら最適化することで、この構造的な問題を解決します。
IT EngineerとIT Optimizer:「価値」の違い
では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
| 比較項目 | IT Engineer | IT Optimizer |
|---|---|---|
| 主な役割 | • システム開発 • インフラ構築 • 技術的課題の解決 | • 業務プロセスの最適化 • ツール・サービスの組み合わせ • 現場課題の即座の解決 |
| 価値の源泉 | 技術の深さ プログラミング、アーキテクチャ設計、パフォーマンス最適化など | 業務理解の深さ 現場の課題把握、最適なツール選定、実用的な自動化 |
| 使う技術 | • プログラミング言語 • データベース設計 • サーバー構築 • セキュリティ実装 | • ノーコードツール(Make.com、n8n) • AI(ChatGPT、Claude) • SaaSの組み合わせ • 必要に応じて簡単なコード |
| 開発期間 | 数ヶ月〜数年 要件定義、設計、開発、テスト、リリース | 数時間〜数日 アイデア → 実装 → テスト → 改善 |
| コスト | 数百万円〜数千万円 人件費、インフラ費用 | 月数千円〜数万円 SaaS利用料のみ |
| 得意な領域 | • 大規模システム • 高度な技術要件 • セキュリティが重要 • カスタム開発が必須 | • 日常業務の自動化 • データ連携・集計 • 現場の小さな課題 • 頻繁に変わる要件 |
重要な気づき
IT EngineerとIT Optimizerは、対立するものではなく、役割が異なるのです。
大規模で複雑なシステムはIT Engineerが、日々の業務最適化はIT Optimizerが担う。
これが理想的な分業です。
具体例で見る違い
同じ「営業電話の要約自動化」でも、アプローチが異なります
IT Engineerアプローチ
要件定義(2週間)
現場ヒアリング、仕様書作成
設計(2週間)
データベース設計、API設計
開発(2-3ヶ月)
音声認識API実装、自然言語処理、データベース構築
テスト(2週間)
単体テスト、結合テスト
リリース・運用
サーバー構築、監視設定
期間:4-5ヶ月
コスト:500-1000万円
IT Optimizerアプローチ
Day 1:調査(1-2時間)
どのSaaSが使えるか確認
Day 1:設定(2-3時間)
- • 電話アプリ(Dialpad)登録
- • Make.comでワークフロー作成
- • CRMと連携設定
Day 2:テスト・調整
実際に使ってみて微調整
Day 3:本番運用開始
現場で使いながら改善
期間:2-3日
コスト:月額5,000-10,000円
どちらが優れている?
それは「要件による」です。セキュリティが重要、独自仕様が必要、大規模ならIT Engineer。日常業務の効率化、頻繁な変更、低予算ならIT Optimizer。
IT OptimizerとIT Engineer:共存の時代へ
✅ IT Engineerの価値
高度な技術力で、大規模で複雑なシステムを構築する
✅ IT Optimizerの価値
業務理解と既存ツールの組み合わせで、現場の課題を即座に解決する
どちらも必要。
役割が違うだけです。
歴史的に見れば、ITは「専門家の独占」から「民主化」へと進化してきました。IT Optimizerは、この民主化の最新段階を体現する存在なのです。
次回予告
次回は、IT Optimizerがどのように組織と社会を変えるのか、二重・三重の最適化について詳しく見ていきます。