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非エンジニアをIT Optimizerに育成した実践記録

IT Optimizer という新しい職種?Vol.6

前回、IT OptimizerにはBuilder、Designer、Orchestrator、Architectという4つの成長レベルがあることをお話ししました。

今回は、実際にITエンジニア未経験者をIT Optimizerに育成した実践記録をご紹介します。どんな壁にぶつかり、どう乗り越えたのか、リアルな体験をお伝えします。

育成対象者のプロフィール

Aさん(営業職)

  • 年齢:30代前半
  • 職種:営業(5年経験)
  • ITスキル:Excel基本操作のみ
  • プログラミング経験:なし

Bさん(経理職)

  • 年齢:20代後半
  • 職種:経理(3年経験)
  • ITスキル:Excel関数は得意
  • プログラミング経験:なし

2人とも「プログラミングは難しそう」「自分には無理」という先入観を持っていましたが、業務の効率化には強い関心がありました。この「課題意識」が、成長の原動力になりました。

育成過程で見えた4つのつまづきポイント

育成を進める中で、ITエンジニア未経験者が共通してつまづくポイントが4つ見えてきました。

1️⃣

「データの流れ」が見えない

具体的な症状

  • • 「このデータはどこから来て、どこへ行くのか」がわからない
  • • エラーが出ても、どこが問題なのか特定できない
  • • ワークフローの途中で何が起きているのか想像できない

解決策

  • ✓ 紙に「データの旅路」を描いてもらう
  • ✓ 実際に動かして、各ステップで何が起きているか確認
  • ✓ 「入力→処理→出力」の3ステップで整理する習慣

実践例(Aさん)

営業日報の自動化を作る際、最初は「Gmailから何かを取ってきて...」程度の理解でした。そこで、A4用紙に「Gmail → テキスト抽出 → 整形 → Googleスプレッドシート → Slack通知」という流れを矢印で描いてもらい、各ステップで「何のデータが」「どう変わるか」を明確にしました。これにより、Make.comでワークフローを組む時の理解度が劇的に向上しました。

2️⃣

条件分岐の概念がない

具体的な症状

  • • 「もし〜なら」という考え方に慣れていない
  • • 複数の条件を組み合わせるとパニックになる
  • • エラーハンドリング(失敗した時の処理)の発想がない

解決策

  • ✓ 日常生活の例で説明(「雨なら傘を持つ、晴れなら持たない」)
  • ✓ 最初は1つの条件から、徐々に複雑にしていく
  • ✓ フローチャートを一緒に描く

実践例(Bさん)

請求書処理の自動化で、「金額が10万円以上なら上長承認、未満なら自動処理」という条件分岐を作る際、最初は混乱していました。そこで、「レストランで食事する時、予算オーバーなら別の店を探す、予算内なら入る」という日常の意思決定と同じだと説明。紙に「YES/NO」の分岐を描いてもらい、徐々にMake.comの「Router」機能の使い方を理解してもらいました。

3️⃣

エラーへの恐怖心

具体的な症状

  • • エラーが出ると「壊した」と思い込む
  • • エラーメッセージを読まずに諦める
  • • 試行錯誤することへの抵抗感

解決策

  • ✓ 「エラーは正常な学習プロセス」と伝え続ける
  • ✓ エラーメッセージをAIに貼り付けて解説してもらう体験
  • ✓ 小さな成功体験を積み重ねる

実践例(両名)

2人とも最初はエラーが出ると手が止まっていました。そこで、「エラーメッセージをChatGPTにコピペして、何が問題か聞いてみて」と指示。AIが優しく「ここのデータ形式が違います」と教えてくれる体験を通じて、「エラーは怖くない、むしろ改善のヒント」という認識に変わりました。今では自分でエラーを解決できるようになっています。

4️⃣

「完璧主義」の罠

具体的な症状

  • • 「完璧に理解してから作ろう」として動けない
  • • 70点の自動化より、手作業を選んでしまう
  • • 細部にこだわりすぎて、本質を見失う

解決策

  • ✓ 「まず動くものを作る、改善は後で」の文化
  • ✓ 「50点でもいいから1週間で作る」という期限設定
  • ✓ 「完成」ではなく「継続的改善」の思考

実践例(Aさん)

Aさんは最初、「全ての顧客パターンに対応したい」と考え、何ヶ月も設計フェーズに留まっていました。そこで「まず主要顧客5社だけに対応するバージョンを1週間で作ろう」と提案。実際に動かしてみると、想定していなかった問題が見つかり、むしろ早く作ってよかったと気づきました。今では「まず50点で動かす→使いながら改善」が習慣になっています。

🔄「転移学習」で加速する成長

育成で重要だったのが、「転移学習」という考え方です。

転移学習とは?

ある分野で学んだ知識やスキルを、別の分野に応用すること。IT Optimizer育成では、既存の業務知識をITスキルに転移させることで、学習を加速できます。

3つの転移学習パターン

📊パターン1:Excel → ノーコードツール

Bさん(経理)の事例:

Excelで「IF関数で条件分岐」「VLOOKUP で参照」をしていた経験が、Make.comの「Router(条件分岐)」「データ検索」の理解に直結しました。「Excelでやっていたことを、複数のアプリ間でやるだけ」と理解することで、学習が一気に進みました。

💡 転移のコツ

「あなたがExcelでやっていること」を起点に説明する

📝パターン2:業務フロー → ワークフロー設計

Aさん(営業)の事例:

営業プロセス(リード獲得→商談→見積→受注)を普段から整理していたAさん。この「業務フロー」の考え方が、そのまま自動化ワークフローの設計に活かせました。「今自分がやっている手順を、システムにやってもらうだけ」という理解で、複雑なワークフローもスムーズに設計できるようになりました。

💡 転移のコツ

「今やっている業務の手順書」を自動化設計のベースにする

🎯パターン3:問題解決思考 → デバッグ思考

両名の事例:

営業や経理の現場では日々「問題が起きる→原因を探る→解決する」というサイクルを回しています。この思考プロセスは、そのままITの「エラーが出る→ログを見る→修正する」というデバッグに転移できます。「仕事で普段やっている問題解決と同じ」と気づいてから、エラーへの恐怖心が減りました。

💡 転移のコツ

「業務で培った問題解決力」がそのままIT学習に使えることを認識してもらう

転移学習の威力

「ゼロから学ぶ」のではなく「既存の知識を活かす」ことで、学習スピードが2-3倍になります。これがIT Optimizer育成の秘訣です。

6ヶ月後の成果

Aさん(営業)の成果

自動化した業務

  • • 営業日報の自動集計・共有
  • • 商談後の議事録AI要約
  • • 見積書の自動生成
  • • リード情報のCRM自動登録

削減時間

週15時間

→ 顧客訪問時間が1.5倍に増加

Bさん(経理)の成果

自動化した業務

  • • 経費精算の自動承認フロー
  • • 請求書データの自動抽出・入力
  • • 月次レポートの自動生成
  • • 支払予定の自動リマインダー

削減時間

週20時間

→ 財務分析業務に時間を使えるように

2人の共通点

  • Builderレベルに到達(自分の業務を自動化できる)
  • 他部署からの相談に対応できるようになった
  • 社内勉強会で講師を務めるまでに成長
  • 「IT=難しい」という先入観が完全に消えた

非エンジニア育成の5つのポイント

1. 業務課題から始める

「技術を学ぶ」ではなく「課題を解決する」が出発点。本人が困っていることを自動化することで、モチベーションが持続します。

2. 小さな成功体験を積む

いきなり複雑なシステムではなく、「Gmailの添付ファイルをGoogleドライブに保存」など、1日で完成する小さなタスクから始めます。

3. AIを味方につける

ChatGPTやClaudeを「24時間いつでも質問できる先生」として活用。エラーメッセージをコピペして聞く習慣をつけます。

4. 「完璧」より「継続」

50点でもいいから動くものを作る。完成してから改善するサイクルを回すことで、実践力が身につきます。

5. 転移学習を意識する

「あなたの既存スキルが活かせる」と気づかせることで、心理的ハードルが下がり、学習が加速します。

IT未経験でも、IT Optimizerになれる

✅ 重要なのは「技術力」ではなく「課題意識」

プログラミングができなくても、業務の課題を見つけて改善したい気持ちがあれば十分です

✅ 「つまづきポイント」は予測可能

データの流れ、条件分岐、エラー、完璧主義 - この4つを意識すれば乗り越えられます

✅ 既存スキルを活かせる「転移学習」

Excel経験、業務フロー理解、問題解決思考 - 全てがIT学習に活かせます

あなたの組織にも、
IT Optimizerの「原石」がいます

適切なサポートがあれば、誰でもIT Optimizerになれるのです。

次回予告

次回は、IT Optimizerが実際に作り上げたプロセス改善の実例を、技術的な詳細も含めてご紹介します。

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